噴水通りの老舗お土産店「スベニールナヤ ラフカ」。このお店はプーチン大統領Tシャツの品揃えがよいことでも定評がある。同店は夫婦で奥さんのマリナ・エヴゲニエブナさん(Марина Евгеньевна)とご主人のセルゲイ・ヴィクトローヴィチさん(Сергей Викотрович)によって運営されている。今回は奥さんのマリナさんにお店の歴史や、商品への思いなどについて聞いてみました。
–マリアさんはウラジオストクでお生まれになられたのですか?
はい、私はウラジオストクで生まれました。ただ先祖は1万キロ以上離れた旧ソ連諸国です。曾祖父はモルドヴァの出身で曾祖母はウクライナのオデッサから1930年代にウラジオストクへ来ました。
–ご先祖さんはなぜこんな1万キロも離れたウラジオストクに来られたのですか?
曾祖父はモルドヴァで小麦の卸売り販売など、小さいビジネスをしていました。1930年代のソビエト連邦は共産主義へまっしぐらで曾祖父のような個人事業を営む者を危険視していました。そのため出来るだけ遠い場所へ流刑にしてしまえということで、極東のウラジオストクに送られたのです。曾祖父がとてもたくましい人だったので、ウラジオストク来てからもめげずに自分の手で家を建てて暮らしていました。その家は今も残っていて、親戚が住んでいます。
–マリアさんとセルゲイさんが今のお店を始める経緯を聞かせて頂けますか?
私は海軍の商品供給部門でずっと仕事をしていました。7年前にこの噴水通りで今のお店を始めました。ただ、当初はウラジオストクに沢山いる軍人さん向けの軍用品ショップでした。しばらくして、旅行者をよく見かけるようになったので、商品展開を旅行者向けのお土産に切り替えていきました。
–プーチン大統領グッズ等、店頭の商品構成が独特ですがどのように選ばれているのですか?
商品は私と主人のセルゲイが2人で相談しながら発注しています。主人はピンバッチが得意で、私はソ連らしい商品が好きで店頭に並べています。どことなくお店の雰囲気もソ連っぽいと思いますが、どちらかというと私の趣味です。レーニンやスターリンの描かれたお皿も新入荷しましたが、これもソ連らしいものです。プーチン大統領グッズは日本人旅行者が好きなので展開しています。たまにロシア人で不快に思う人もいるようですけどね、特に政治的な意味はないですよ。うちの商品は自分達が好きなモノも置きますが、一番はやはりお客さんの声です。私達は外国語は全くできませんが、スマホの翻訳機能使ったりしながら、お客さんとよくコミュニケーションして、各国旅行者の好む傾向をとらえて、お店に展開するように努めています。
–各国の旅行者によって売れる商品に違いはありますか?
はい、すごい違いがあります。昨年も多かった韓国人旅行者は典型的な、伝統ロシアグッズを欲しがります。うちではよく一般的なマトリョーシカを買っていかれます。うちは日本人旅行者も頻繁に訪れますが、彼らはプーチン大統領Tシャツを本当によく買っていかれます。それとチェブラーシカも日本人だけに売れる商品ですね。ロシア人は帽子とか、伝統的衣装であるサラファンとか、スラヴ民族時代から続くお守りとかそういうものです。
–今年はコロナウイルスで御商売も大変かと思いますが?
そうですね、かなり大変でテナント代もなかなか高額だったので、コロナ騒動を機にすぐ隣の小さいスペースに移動しました。一応、政府が2か月にわたり2万ルーブル(約3万円)を支援してくれたので、助かりましたが、それでも中々先が見えないです。とはいえ、1991年にソ連が崩壊した際は、長い間にわたって、私の父は給料ストップで働いていたことがありますから、それに比べると全然いいかとは思います。
–最後にマリナさんの好きな休日の過ごし方を教えてください?
夏は砂浜と海が好きなので、水のきれいなシャモラビーチに行き寝そべるのが好きです。私達は森の中に家があるのですが、冬はその森の中で過ごすというのが何とも気持ちいいです。
空手歴12年で日本大好きな夫セルゲイさんと、いつも笑顔で対応してくれるマリアさん。噴水通りの老舗土産店として、なんとか末永く残ってもらいたいものです。
空手の他、日本の武道にとても詳しいセルゲイさん
お店の紹介:http://urajio.com/item/1326
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