ロシアの文化とその隣国の文化が味わえる御土産店ルナイグロシ(Луна и грош)。同店には沿海州の芸術家、職人の手作り作品を多く扱っていて他のお店にはない空気を持っています。またユニークなのはロシアのみならず隣国である中国、韓国、日本の文化関連の書籍、作品も多数扱っているところです。ロシアの良さを味わいつつ、その隣国文化にも触れられる同店は、旅行者のみならず各国の文化研究者などの集う場所にもなっています。そのルナ・イグロシを経営するオーナーのエレナ・アレクサンドローブナさん(Елена Александровна)にお話を伺ってみました。
–エレナさんは生まれも育ちもウラジオストクですか?
生まれたのは、ベラルーシという国です。もともとソビエト連邦の一部だった国です。モスクワよりもっと遠いところですね。そして1986年にウラジオストクに来ました。もう30年以上はウラジオストクなので、完全にウラジオストク人です。
–ルナイグロシというお店を開いた経緯について教えていただけますか?
このお店を開いて2年が過ぎますが、それまではアルセーニエフ博物館で仕事をしていました。その博物館で勤務している時に、ロシアの素晴らしい文化、手作りの木工作品、芸術作品などに惹かれていきました。それとともに、中国、韓国、日本などの近隣諸国の文化にも非常に興味を持ちました。このロシア文化の素晴らしさを皆(お客さん)と共有したかったのです。それと同時に、隣国の文化もロシア人に伝えるべきだと思いましたので、その書籍や作品も同時にお店に並べることにしたのです。
–お店には手作り作品も多数ありますが、どのくらいのハンドメイド職人がいらっしゃるのですか?
50人以上の職人さんが商品を提供してくれています。沿海州に住む人々で、大半はウラジオストク在住者ですが、中にはナホトカ、アルチョムなど他の都市の職人さんがいます。中には北朝鮮の職人さんもいますよ。ウラジオストクには北朝鮮の大使館もあり、そこから紹介を受け素晴らしい芸術家と知り合え、お店で販売しています。
貝柄で作られた北朝鮮芸術家の力作
–お店には中国、韓国、北朝鮮、日本の文化、歴史などを扱った本も多いですが、これもお店の特徴ですね?
そうですね。ロシアの隣国にはロシアに無い素晴らしい点を持った国があります。日本もそうですね。私の娘は日本に何ヶ月も滞在し色々見て回ったりしたのですが、日本には素晴らしい文化、それと卓越した労働観がありますね。道に凸凹は少ないですし、どこも綺麗ですし、時間も守られますし、仕事は完璧にこなすという労働観があります。残念ながら、ロシアにはそのような労働観はありません。日本からロシア人は勉強、学ぶ必要があると私は感じますね。もちろん日本に無くて、ロシアにはあるという部分もありますよ。その隣国同士の良い部分をお店で展開していき、お客さんに伝えていきたいのです。
日本人の優れたの仕事方法、労働観を扱った本も販売する
–エレナさんのお店はほとんど広告していませんよね?
お陰様で口コミ(Сарафанное радио)で広がってくれているんですよ。
–口コミだけでは難しい面もありそうですが?
ビジネスとしては難しい面もあるかもしれませんね。でもいいんですよ。私としてはお店の商品を気に入ったお客さんだけがお店に通ってくれればいいと思ってますし、ただ覗きに来るだけでもいいとおもっているんですよ。ちょうど博物館のようにです。そしてもしお客さんが本当に欲しいと思ったら買ってくれればいいかなと思うんです。そんな感じで友人を増やすような感じでお店も発展できればと思います。ここに来るお客さんは皆友達になって、ぶらぶら時間過ごしたりしてますね。今、お店の裏にいいスペースがあるので、ここをフリースペースにして、ここで本読んでもらったり、くつろいでもらったりしようと計画中です。5月には正式オープンできそうです。
5月からは青空の下で本も読める
—ルナイグロシという店名にはどういう意味があるのですか?
ルナイグロシというのはロシアの物語の題名から取っています。国同士にはいろんな違いがありますよね。そういう違いを超越、つまり国よりもっと高い視点である月の作品(商品)が集まったお店として、月=ルナ(луна)、小銭=グロシ(грош)としました。いろんな違いを超えた月の視点で楽しみましょうと、そんなところでしょうか。
–お店にいつもいる猫さんも大人気ですが、この猫さんについて少し紹介していただけますか?
そうなんですよ、とてもかわいくて利口な猫なんですよ。名前はビザンチーヤ、通称でビーザです。8歳の女の子です。本当にいい子で、絶対噛むこともないですし、おっとりしてます。
ルナイグロシは単なるお店というよりは、国境を超えて文化の融合する場所であり、人々の交わる場という雰囲気です。お客さんには文化に触れてもらって、本当に欲しくなった時だけ買ってもらえばよいというスタンスを曲げないところに太っ腹で寛大なエレナさんの心意気を感じました。
ウラジオ発:文化融合型ショップの店主 エレナ・アレクサンドローブナさん
文化融合型ショップの店主 エレナ・アレクサンドローブナさん
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