ウラジオストクの現代アート(亡くなった芸術家でない)、今を生きる芸術家を支援するセンターがZARYAである。この現代アート拠点のスタッフとプロジェクトを一手にまとめるのがアリサ・バグドナイチェさん(Алиса Багдонайте)である。アリサさんはモスクワ生まれでモスクワ在住のモスクワっ子。そんなアリサさんがなぜ9000キロも離れたウラジオストクの芸術発展プロジェクトに携わるようになったのかを伺ってみました。
—-現代アート拠点ZARYAは民間企業なのでしょうか?
ZARYAは民間組織です。アレクサンドル・メチェーチン(Александр Мечетин)というビジネスマンであり、美術品収集家である彼が慈善事業の1つとして運営しています。
—-アレクサンドルさんについて少し教えていただけますか?
彼はウラジオストク近郊のナホトカという街で生まれました。ビジネスをしにモスクワに行き、ずっとモスクワに住んでいます。
—-そんなアレクサンドルさんはなぜウラジオストクのしかも郊外にこのようなセンターを作ろうと思ったのでしょうか?
ビジネスマンとして成功した彼は、なにかしら故郷の発展に貢献したいと思いました。美術品収集家でもある彼の目にウラジオストクの芸術家、芸術的雰囲気が目に止まり、彼をとりこにしていきました。彼自身、このウラジオストクの芸術家にいろんな可能性を見出しました。そしてそのような可能性を持つ芸術家達を支援し芸術家個人の可能性を開いて行くと同時に、ウラジオストクの地域住民にも喜んでもらおうとZARYAの設立を考えたわけです。市内中心部には、いろいろな施設がありますが、ZARYAのある郊外はそのような施設がありません。つまり郊外の住民はなかなか、そのような芸術に触れる機会も少ないわけです。そこでZARYAは郊外に作ろうということになりました。
—-ZARYAにはフランスなどのヨーロッパ各国の展示品が並んだりすることも多いですね?
私はモスクワに住んでおり、モスクワではそのようなヨーロッパ各地の芸術家、芸術作品に触れる機会が多く、
芸術関係者同士のネットワークも発達しています。そのネットワークを通じて、ヨーローッパ各国の作品を極東のウラジオストクへつなげています。モスクワは大都市で、そのようなヨーロッパの作品を頻繁に目にし、目新しさがないですが、このウラジオストクでは毎回斬新さを持って迎えられます。ヨーロッパの芸術家も喜んで出展してくれます。
—-日中韓などアジアとZARYAの関係はいかがですか?
ZARYA設立の目的は芸術家の可能性を開くです。この「開く」は、アジアに向けて開くという意味合いが強いです。日本、中国、韓国といった国へウラジオストクの芸術家の作品、活動を発信し、それらの国に評価してもらい芸術家本人および、業界の発展につながればと思っています。また、ZARYAではアジア各国から芸術家受け入れ、芸術家向けの無料滞在アトリエも用意し、国際的な芸術家同士の交流も積極的におこなっております。
—-オーナーであるアレクサンドルさんとアリサさんはどのように知り合ったのですか?
私はモスクワのある美術館で仕事をしていました。その際にそこで知り合い、ZARYAのプロジェクトリーダーとして誘われました。
—-御仕事とても楽しそうにされていますね?
とても楽しいですよ。この仕事に携わっていると色んな意味での可能性を肌身で感じられます。とてもエキサイティングな仕事です。
—-飛行機で9時間のフライトは大変ではないですか?
最低1ヶ月に1度はウラジオストクに来るようにしており、こんな生活が2年半続いています。でも全然へっちゃらです。飛行機の移動はただ寝るだけですから、慣れますよ。
質の高い現代アート作品が全て無料で見られ、オシャレな読書、作業スペースも無料。楽しいイベントも頻繁に開催され、いわゆる国立系の美術館、博物館とは違う躍動感がある。そんなZARYAの理念を現場で実行していく女性リーダーのアリサさんにはいつも芸術家と更に若いスタッフ達が集まる。
ウラジオ交流事業のお問合せ お気軽に♪