アルセーニエフ博物館前の地下道で、ちょっと目を引く器や布製品などを扱うお店「デコルマーケット」。最近は多くのガイドブックに掲載され、旅行者も頻繁に訪れるお店となっている。同店で店頭に立ち接客するのはオーナーでもあるオリガ・アルダさん(Ольга Арда)。オリガさんに開店に至った経緯や、どのように商品を展開しているか、今後の展開等について伺ってみました。
–オリガさんはどちらの出身ですか?
私はウラジオストクで生まれました。母はヴォーラグダという首都モスクワに近い場所の出身です。
–お店をオープンされたのはいつですか?
2017年にオープンしたので、3年が過ぎました。
–オープンされる前は何をされていたのですか?
17年間ロシアから離れて、ブルガリアとトルコのロシア領事館併設学校でロシア語の教師をしていました。対象はブルガリアとトルコにいるロシア人の子供たちです。
–なぜ教師の仕事を辞めてウラジオストクでお店を始めようと思ったのですか?
ウラジオストクに戻った時は、特にお土産屋をやろうとは考えてもいませんでした。色んな選択肢があったのですが、プレゼント商品屋をはじめようかなと思って、とりあえず始めました。その時は地元ロシア人だけを対象に考えていました。その後、少し変わって、ロシア全土の厳選され、綺麗で上質な日用品を置くようになりました。
–それからどのように今のような旅行者志向のお土産屋になったのですか?
私はずっと海外に住んでいました。ブルガリアとトルコの生徒からはいつもマトリョーシカが欲しいとお願いされ、17年間マトリョーシカを彼らのためにロシアで買い続けました。彼らはこんなにもマトリョーシカが欲しいのかと思ったものです。その時にお土産としてのマトリョーシカの魅力、そして外国人の求める感覚というのが自然と身についていました。それともう1つ大きな理由は、海外生活の中で現地の人達、つまり私にとって外国人とやり取りしたり、よい関係を築いたりすることにとても喜びを見出していました。そんなことから、旅行者向けの商品を展開して、旅行者ともいい関係が築ければと思い、だんだん旅行者向けロシア土産が多くなっていきました。
–お店の商品の特徴を教えていただけますか?
うちの商品は、ロシア全土にある作業場や工場に行って、自分の目で商品を確かめ、その歴史的価値や、職人さんの心などを感じながら購入しています。
–オリガさんが全商品の買付を行っているのですか?
私は旅行が好きなので、基本は私がロシア全土駆け巡ります。ただ母も夫も手伝ってくれています。母は出身地のヴォーラグダに喜んでいってくれますし、夫は最低年に1回トルコで買い付けてくれます。
–トルコからも商品を仕入れているのですか?
うちで扱うタオル類だけはトルコ産です。ロシアは麻製品のクオリテイーは高いのですが、タオルはあまりいい出来ではありません。そのため圧倒的に質の高いトルコ製にしています。タオルそのものはトルコ産ですが、刺繍やプリントはロシアらしいものにしています。マトリョーシカ柄もありますよ。
–旅行者がロシア産だと思って買うんではないですか?
いいえ、どこ産というのは絶対に旅行者に伝えます。私はしっかりと理解してもらい、その上で購入してもらいたいと思っています。
–旅行者はどのようなものを購入するのですか?
まずは定番のマトリョーシカですね。マトリョーシカもきちんとモスクワ郊外の作業場に足を運んで買い付けています。それと日本の旅行者は猫関連のグッズとチェブラーシカを購入されます。韓国人旅行者とはそこが違いますね。そして全般として売れるのがクリミア半島で作られる色鮮やかな器です。クリミア半島のタタール人が17世紀から代々にわたって作っているものです。親から子へ手作業を伝えていく家族事業です。この器は日本人にもファンが多いです。
–旅行者以外からの注文もあるのですか?
日本の北海道の方が何度か買付に来られ、それからその方がメールで注文してくれます。又、アメリカからも注文がありますね。アメリカでは猫ではなく熊のマトリョーシカを要望されます。
–今後のお店の展開について教えていただけますか?
2店舗目を開いたものの、あまり拡大することには興味がありません。それよりも旅行者をちょっと助けたり、いい関係を築いたり、そういう方向で発展していければと思います。雨が降れば、無料で傘を貸したり、荷物が重ければしばらくうちで預かったり、小さいですがそんなやり取りが続けばいいです。
商品選びと直接現地にいって生産者と話し合いながら購入し、1つ1つの商品に愛着をもつオリガさん。単に商品を売るというだけでなく、旅行者との人と人との関係を発展させたいと店頭に立ち続けるオーナーでした。
ウラジオ発:ロシア全土のセレクト土産店店主 オリガ・アルダさん
ロシア全土のセレクト土産店店主 オリガ・アルダさん
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